熊本地震を経験した稲田悠樹が考えるドローンの未来#02

2017.1.19

「災害対応にドローン」と叫ばれているが、実際には「誰に、何のために」が明確になっておらず、まだ災害現場でドローンを活用するのは難しい。
こう語るのはドローン専門メディア「Dration」を立ち上げた稲田悠樹氏。

熊本出身で今も熊本に住んでいる稲田氏。
これまではDrationの運営や企業のPR映像の空撮を中心とした活動を行ったきたが、熊本地震をきっかけに救急医療や災害対応の活動が多くなってきている。

稲田氏のこれまでの活動にフォーカスした前編
後編では震災で痛感したドローンに関わる課題、そして課題を解決するための新たな活動について話を聞いた。

生きるのに必死だった震災直後

ー4月の熊本地震以降、復興支援活動で忙しいと聞きました。

そうですね。現地で立ち上がったボランティアチーム「チーム熊本」の調整役で、運営業務フローを作ったり、配送物資のデータをクラウドに上げたり、いろいろやってます。

炊き出しのニーズを聞いて、それをやってくれるボランティアをマッチングをどうやったらうまくいくかなどの仕組み作りなどもしてます。

ーなるほど、被災された方の生活支援の仕組みを作っているんですね。
今は生活支援の方は継続しながら、地元企業を支援するための活動を広げてます。

ー企業支援は具体的にはどのようなことをしているのですか。

BRIDGE KUMAMOTO(ブリッジクマモト)」という活動で、困っている企業さんの状況をお聞きして、地元クリエーターと一緒にプロジェクト化したり、熊本以外の企業やスキルを持った方とを(熊本県内外のクリエイターを集めて困っている地元企業と)マッチングさせるというものです。

震災直後は企業がビジネスをできない状況が続いて、マイナスをゼロにすることでいっぱいいっぱいだったんですが、これからクリエイターさんたちとゼロからプラスにしていこうとしているところです。

先日も六本木ヒルズで「BRIDGE KUMAMOTOキックオフ」を開いたのですが、120人くらいのクリエイターさんたちに集まってもらったんですよ。

熊本出身や、熊本に縁のあるというひとたちが多かったのですが、東京では熊本のリアルな情報が伝わってこないという声が目立ちましたね。

ー東京での報告会はリアルな情報を入手する場になったはずですね。

ニュース等では落ち着いた様な風に感じている方が多いと思いますが、まだまださまざまな方のスキルを貸してほしいところです。

ーいろいろと活動されていてドローンを飛ばす時間はなさそうですね。

震災以降は空撮活動ができていないですね。

特に地震が起きてすぐは生きるのに必死でドローンどころではなかったです。その後はボランティア活動、今は企業支援でバタバタしてます。先月ぐらいからありがたいことに、PRや調査等のいろいろな空撮のご相談を頂戴して対応しています。


ロケも、編集も、撮影も、空撮も、お店も、自然もすべて熊本のDration映像作品

災害対応ドローン 用途の明確化が必要

ー「ドローンで災害対応」と言われていましたが、現実的に現場でドローンを使うのはまだ難しいと。

地震直後の現場で、生きることに直結するのって救急とか消防なんですよ。そこにドローンパイロットは現状では混ざれない。もしあるのならぜひお話を聞いてみたい。

今回自分自身が被災者になって分かりましたが、「災害対応のドローン」ってぼやってしてたなと。
「誰に、何のために」が明確になってないんですよ。

ードローンを災害現場で活用するにはまだ研究が必要ということですね。

そうですね。
2015年からメンバーとして活動しているEDAC(一般社団法人 救急医療・災害対応無人機等自動支援システム活用推進協議会)で救急医療や災害現場でドローンなど無人機の活用を進めようとしていますが、今回偶然にも自分が被災者になってリアルな現場を見たので、自分の経験を生かせるのではと考えてます。

ー何が必要なのかって実際の現場でないと分からないですからね。具体的にどのようなところに注力したいと考えてますか。

「ドローン分野の細分化」が必要と考えています。

「ドローンパイロット」という言葉1つとっても、誰の何のためにが分からないので。
空撮でもPR用動画なのかデータ取りのためなのかで求められるスキルは変わってきます。

「パソコンが仕事です!」って言っているのって変ですよね。
実際は「デザイナー」や「プログラマー」「ライター」など使って「何をしてる人なのか?」が名称ですよね。

ーなるほど。データ取りの空撮だったら、綺麗に撮影するというよりは、ほしいデータをしっかり取れるかが重要になってきますね。

自分の経験を生かしてドローンだけでなく、現場とボランティアさんと物資など様々な混乱をスムーズに対応できるシステム等もできるようになればいいなと考えています。

地震とは関係なくEDACで応募していた総務省「IoTサービス創出支援事業」でも委託先団体として受かったので、今後九州大学等を実証フィールドとして救急医療・災害対策で無人機とIoTがどのように活用できるのかの実証実験をすることになります。

ー地震をきっかけに活動範囲が一気に広がったようですね。救急医療・災害対応でドローンがどのように活用されるのか、ドローンだけでなく災害現場を知っている稲田さんだからこそ切り開ける活路ですね。今後の活動にも注目したいと思います。

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熊本地震の経験で広がった視野 稲田悠樹が考えるドローンの未来(後編)

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