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ドバイ・ドローンレース世界大会 課題多くも近未来スポーツの可能性示す

3月7〜12日にかけてドバイで開催された最大規模のドローンレース世界大会「World Drone Prix 2016」(賞金総額約1億2000万円)はイギリス出身15歳の中学生、Luke Bannisterさんがパイロットのチーム「Tornado X-Blades Banni UK」の優勝で幕を閉じた。

優勝したLuke Bannisterさん(写真右)と2015年DroneNationalsで優勝したChad Nowakさん(写真左)優勝したLuke Bannisterさん(写真右)と2015年DroneNationalsで優勝したChad Nowakさん(写真左)

今大会の優勝賞金は25万ドル(約2800万円)だが、チーム全員(43人)で賞金をシェアすると発表し、話題を呼んでいる。

Tornado X-Bladesは欧州の優秀なドローンパイロットたちで構成されるチーム。今大会には、Tornadoチームから11人のパイロットが参加した。ファイナル進出32チーム中7チームがTornadoチームと、レベルの高さと層の厚さを示した。Tornadoチームは、Lukeさんのほかにも数名10代のパイロットが活躍した。

ファイナルは1レース4チームが同時に競い合い、各レースの上位2チームが次のレースに駒を進める方式で行われた。ファイナルは1周が最長822メートルの難コースを12周するという過酷なもので、32チーム中完走できたのは10チームほどだった。

アジアからは、韓国から3チーム、中国から1チームが予選を通過し、ファイナル進出を果たしたが、準々決勝、準決勝で敗退し8位入賞はならなかった。一方で、レース内容は悪いものではなく、韓国、中国のレベルの高さを示す形となった。韓国3チーム中2チーム、中国チームのパイロットはぞれぞれ10代が務めた。

中国深センのチーム「D1」のパイロット、シャオリンさんも17歳と若い 予選2位通過中国深センのチーム「D1」のパイロット、シャオリンさんも17歳と若い 予選2位通過

決勝では、Tornado X-Blades Banni UK、ドバイ地元チーム「Dubai Dronetek」、ロシアの「VS Meshcheriakov」、オランダの「Dutch Drone Race Team SQG」の4チームが激突。接戦になるかと思われたが、Lukeさんが圧倒的な速さで他チームを寄せ付けず、そのまま優勝をさらっていった結果となった。

トラックレースの結果は以下の通り。

1位:Tornado X-Blades Banni UK(イギリス)

2位:Dubai Dronetek(UAE)

3位:VS Meshcheriakov(ロシア)

4位:Dutch Drone Race Team SQG(オランダ)

5位:Team Awkbots(アメリカ)

6位:No Longer Noob(アメリカ)

7位:Vincebee Team(ベルギー)

8位:DroneXLabs(メキシコ)

ちなみに優勝した Lukeさんは1日30個のバッテリーを使って練習しているとのこと。これは、バッテリー1個当たり5分の飛行時間として計算した場合、1日に2時間30分練習していることになる。

大会ではトラックレースの合間を縫ってFreestyleも実施された。

Freestyleでは30人で予選を行い、6人がファイナル進出を果たした。ファイナル進出はならなかったが、筆者もFreestyle予選に出場し、次の大会に向けた収穫を得ることができた。

Freestyleの優勝は韓国の12歳、キム・ミンチャンさん。ラジコンヘリで鍛えたトリックをドローンで繰り出し、Freestyle優勝を獲得した。

Freestyleで優勝した韓国の12歳、キム・ミンチャンさんFreestyleで優勝した韓国の12歳、キム・ミンチャンさん

2位のSteele Davisさんは、Mr. Steeleの名で知られる有名人。レース用ドローンで撮影した映像と音楽と組み合わせた作品をYoutubeにアップしており、世界中に多くファンを持つ。トラックレースにも参加していたが、途中クラッシュしてしまい残念な結果となったが、Freestyle2位と面目を保った。

Freestyle2位となったドローントリックマスター Mr. SteeleさんFreestyle2位となったドローントリックマスター Mr. Steeleさん

昨年、米国で開催されたドローンレース世界大会「DroneNationals」の王者 Chad Nowakさんもトラックレースではクラッシュしてしまい良い結果を残すことができなかったが、Freestyleでは4位に食い込むことができた。

Freestyle部門の結果は以下の通り。

1位:MInchan Kim

2位:Steele Davis

3位:John Schaer

4位:Chad Nowak

5位:BanniUK

このほか、大会ではドローンのデザインを表彰する「Construcor Award」、最速ラップタイム賞、ベストチーム賞、地元チーム賞が、各受賞チームに手渡された。

各受賞チームは以下の通り。

Construcor Award(ベストデザイン賞):チーム Sigandrone(アメリカ)

ベストデザイン賞を受賞したSigandroneの機体ベストデザイン賞を受賞したSigandroneの機体

Fast Lap Award(最速ラップタイム賞):VS Meshcheriakov

最速ラップタイム賞を受賞したVS Meshcheriakovチーム(写真左から2番目がパイロットの Meshcheriakovさん)最速ラップタイム賞を受賞したVS Meshcheriakovチーム(写真左から2番目がパイロットの Meshcheriakovさん)

Best Team (ベストチーム賞):Dubai Dronetek

ベストチーム賞を受賞した地元チーム「Dubai Dronetek」ベストチーム賞を受賞した地元チーム「Dubai Dronetek」

Local UAE Awards for Racing(地元チーム賞):チーム Dubai Dronetek、チーム Drone Worx Dubai

すでに次回開催も計画 課題克服がレースを盛り上げるカギ

今大会を主催した国際ドローンレーシング組織「World Organisation of Racing Drones」は、ドバイ大会を皮切りに世界中でドローンレースを開催する意向を表明しており、近い将来、日本、中国、韓国などアジア域内でも World Drone Prix が開催される可能性がある。特に日本は2020年東京オリピックを控えており、それに向けて大規模なドローンレースが開催されるかもしれない。

World Organisation of Racing Dronesの事務局長、Omar AlOlama氏World Organisation of Racing Dronesの事務局長、Omar AlOlama氏

一方、今大会では初めての開催となることもあり運営上いくつかの課題が浮上した。トラックレースでは、予選からチームの入れ替えがスムーズいかず、正午頃に始まった予選が夜中に終わるなど、最終グループに不利な状況が起こったのも事実だ。最終決戦前日(11日)の準々決勝が終わったのも午前2時頃と、選手には厳しいコンディションとなった。翌日には、運営側の努力によりチームの入れ替えは改善された。

また、Freestyle部門でも予選当日に場所・ルールの変更が言い渡され、想定していない事態が選手を混乱させた。特に、慣行ではゴーグルを装着してFPVで操縦するのがFreestyleと認識されているが、急きょ目視飛行も許可されるなど、評価基準があいまいになったのは否めない。Freestyleは発展中のジャンルで、そもそもの評価基準が統一されていないことに加え、しっかりと評価できる審査員がいないという事実も認識する必要がある。

今後、同大会が国際的に認められ、盛り上がるためには、これらの課題を克服することが求められる。

全体を通して、今大会が世界のトップドローンレーサーが集まる機会となり、今後のドローンレース発展の礎となったのは間違いない。これからのWorld Drone Prixの進化にも注目していきたい。

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