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WebVRから近未来のゲームまで ~ VR Tech Tokyo

Oculus RiftHTC Vive、そしてソニーの PlayStation VRといった一般ユーザー向け高性能ヘッドマウントディスプレイが出揃うなど、「VR元年」と言われる2016年。今後、これらのハードウェアでどのようなコンテンツやゲームを楽しめるのかに注目が集まっている。

アメリカ・ロサンゼルスで6月14日から16日に開催の世界最大のゲーム見本市「E3 2016」でも、VRは最も注目を集めたトピックの1つだ。既存タイトルのVR対応バージョンを含め、多数のVRゲームがプレイアブル出展されている。

一方、日本でも開発者を中心に盛り上がり始めている。5月26日には株式会社ドリコムで「第1回 VR Tech Tokyo」 が開催され、VR/AR開発者が自らの作品や開発環境についてのティップスなどを発表した。

VRについての情報交換の場として開催されたこのイベントでは、これからVRの製作をしてみたい人にも参考になる内容が多く語られた。

IBMの事例はVRと人工知能が交わる“近未来のゲーム”

岸本拓磨氏は、IBMが関わるVR事例を紹介した。かつてはテレビや映像の業界に関わりながら、プライベートでVJをしていた岸本氏は現在、IBMのVR/ARを開発する部署「IBM Interactive Experience」に所属している。

Image titleIBM IXの岸本拓磨氏

「IBM Interactive Experience」は、さまざまなスポンサーの要望に応えるインタラクティブな案件を担当する製作部門。近年は国際的なVRの盛り上がりを受け、特に本国アメリカでの販促におけるヴァーチャル・ショールームなど、VR使用の事例が多くあるという。

それらの事例はこちらから視聴することができる。

日本IBMでは今年3月、ライトノベル/テレビアニメの「ソードアート・オンライン」とのコラボによるVRスペシャルコンテンツのイベントを実施。2022年にサービス開始のVRMMOゲームのアルファテスト、と称して製作されたもので、応募はしたが参加できなかったというひとがVR Tech Tokyoの会場にも多くいたほど、注目を集めたコンテンツである。

ソードアート・オンライン ザ・ビギニング Sponsored by IBM

「ソードアート・オンライン ザ・ビギニング」では、ユーザーの全身を3Dスキャンすることで自分の姿のままVR世界でプレーすることができる。手の動きで操作するデバイス Leap Motion を Oculus Rift に取り付け、ゲームの中で自由にものに触れたり、武器を使ってモンスターに攻撃することも可能だ。

Image title

また、ユーザーはトレッドミルの上を実際に歩くことで、ソードアート・オンラインの世界を探検できる。

最大の特徴はIBMが開発しているコグニティブ(認知型)システム “Watson” の機能を使ったナビ「コグちゃん」が、ソードアート・オンライン世界のあらゆる動作をレクチャーしてくれるため、より没入感を得ることができるという点だ。

VR技術とAIとのコラボレーションによって、仮想空間での人間の行動の幅や、人間の認知上の没入感が増すという試みは、これからのVR製作の1つの形となっていくかもしれない。

A-FRAMEはWebVR製作の入門におすすめ

中ノ瀬翔氏 は現在、VR/ARの分野にハマり個人で製作を行っている。

Image titleA-frameについて紹介する中ノ瀬翔氏

中ノ瀬氏は、WebブラウザでVRコンテンツを製作する際に非常に便利な「A-Frame」について紹介。これまでのWebサイトと同じ感覚で3DのVRコンテンツをブラウザ上に作ることができるため、これからVRに挑戦してみたい人におすすめだという。

A-Frameの編集画面は、Web製作の経験者なら誰でも馴染みのあるもので、ここに数行のJavaScriptコードを打ち込むだけで、比較的クオリティの高い3D表現を行うことができる。

実際に中ノ瀬氏がA-Frameで作成したものがMACROSSという360度画像/動画のVRギャラリー。

ウェブブラウザ上のギャラリーなので、リンク先のほかのVRコンテンツに、Webサイトと同じように飛ぶことができる。WebVRを作ってみよう、という人にはぜひチェックして見てほしい。

ここから生まれるVRコンテンツへの期待

この日はほかにも6人の開発者が登壇。

@WheetTweetさんは1つのゲームからGearVR、Cardboard、Milbox Touchといったマルチデバイス対応のスマートフォンVRを開発するTipsを紹介した。

@m_mitsuhideさんは速度と設計のしやすさを重視して開発したWebVR製作プラットフォーム「Solufa」について話した。

Android端末を使用したVRゴーグルを開発している@kinnekoさんは、 現在取り組んでいる #jagovisorの設計と実装について語った。

@mizogucheさんは、VR空間内での集会アプリ cluster. について、首が痛くなる、入力方法、シミュレーター酔いという3つの課題があることを説明した。

ダイバーシティ東京のアミューズメント施設「VR ZONE Project i Can」を手掛けるバンダイナムコエンターテインメントの@mayanmoyanさんは、VRに興味のないリア充の人たちにリーチすることを考えたというコンセプトづくりについて明かした。

そして最後に、@MilboxOfficialさんからはタッチ入力で操作できるスマートフォン装着型VRゴーグル「Milbox Touch」とそのSDKでできることが紹介された。

VRは実際に体験してこそ、その面白さや可能性を実感できる。Oculus RiftHTC Viveといったヘッドマウントディスプレイの性能を発揮するには価格が高めの高性能なPCが必要で、一般にはまだ敷居が高い。PlayStation 4との組み合わせでVRを体験できるPlayStationVRはより手軽だが、元々ゲームをプレーする層が当初は主なユーザーとなるだろう。

ヘッドマウントディスプレイが広く一般に普及していくためには、価格・取り扱いともより手軽なものになっていく必要がある。現状では、WebVRをスマートフォンで楽しんだり、「ソードアート・オンライン」のようなイベントやVR ZONEのようなアミューズメント施設でのVR体験が、多くの人にとってVRの入り口になり得る。VRならではのコンテンツが、VR Tech Tokyo とその周辺の開発者たちから生まれていくことに期待したい。

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