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VRで強烈な共感力を育む、医学生が74歳を疑似体験する「We Are Alfred」

昨今、日本はもちろん世界中の先進国で高齢化が進行している。

高齢化が引き起こす問題の一つは、若い医者、医学生らが、彼らではどうしても想像しきれない身体的、精神的な悩みを抱えるたくさんの高齢者を看なければならなくなること。

こうした若い医療従事者と高齢者のコミュニケーションの限界という問題を解決すべく、アメリカのEmbodied LabsがVRを活用したプログラムを開発している。

視界にもや・・・ 74歳男性の生活を疑似体験

Embodied Labsが開発しているのは、「We Are Alfred」というプログラム。

その名の通り、「アルフレッドさん」という視覚と聴覚に障がいをもつ74歳の架空の男性の生活を、若くて健康な医学生にVRを使って疑似体験してもらうものだ。

医学生はヘッドセット、ヘッドフォンを装着し、手にはハンドトラッキングデバイスを携帯。すると、医師による問診の場面などがディスプレイに表示される。

しかしディスプレイの中央には、黒いもやがかかっている。これは、加齢に伴い目の網膜にある黄斑部が変性を起こす疾患、加齢黄斑変性の症状を模したもの。

Image title

さらに、聴覚が衰え、問診する医師の声が上手く聞こえない場面も含まれる。医学生たちは、問診する立場にある自分たちが高齢者からどのように見えているのかを鮮明に知ることができるだろう。

きっかけは実の母親のアルツハイマー病

Embodied Labsの創業者、キャリー・ショーさんがWe Are Alfredを開発しようと思ったのは、実の母親がアルツハイマー病に罹ってしまった個人的な体験がきっかけとなっている。

Image title創業者の3人、中央がキャリー・ショーさん

これまでにもテレビやコンピュータに映る映像で高齢者の生活を知ろうとするコンテンツは存在したが、彼らの気持ちをリアルに想像し、理解するには不十分だと感じていたそうだ。

We Are Alfredでの疑似体験がとてもリアルに感じられる理由の一つは、医師との問診の他にも、家族や友人との日常生活も体験できることだ。

自分と関係の近い人たちと過ごす場面を体験することで、高齢者が感じているフラストレーションや感情に、若い医学生たちは強烈に共感することができるだろう。

このプログラムからもわかるように、VRには他人への共感力を育む力がある。「共感力」という観点であらためてVRを眺めると、実用化の余地は大いにありそうだ。




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