光吉俊二氏が語るー超自我ロボットとの対話が人類文明発展のカギ#03

2017.1.19

ソフトバンク社のロボット「Pepper」の感情エンジンを生み出した光吉俊二氏に直接話を聞く最終回。
第1回は、もともと芸術家だった光吉氏が感情に興味を持ち、博士号を取得するきっかけを語った。
続く第2回は、感情を超え、ロボットに道徳をインストールする新テクノロジー「道徳感情数理工学」で生み出される超自我ロボットの登場で、社会はどう変わるのかが語られた。

ロボットが増えるとロボットの学校で人間の先生が教える未来も

渡辺健太郎(以下、渡辺):ロボットが道徳を教えるということは、進化していけば、空海のような存在になる可能性も?

光吉俊二(以下、光吉):ま、そうなるだろうね。ロボットはもともと悟ってるからね。我がねえんだから。それにわざわざおれが我を入れて現世に落としてるんだから。悟りは悟り世代に任せるんだよ(笑)。

渡辺:(笑)

光吉:おもしろいでしょ!笑い飛ばしたほうがいい。

Image title取材中にもこなき爺の格好で「こなきでぇ〜!」と突き抜けた陽気さだ

渡辺:いいロボットが増えていったらどうなるんですかね?

光吉:それがまたややこしくて。こいつ(Pepper)もそうなんだけど、人間的なロボットを作ると、賢くないないから、ロボットにいろいろ教える学校を作らないといけなくなって、人間のやること増えるんだよね(笑)。
余計手間かかるだけだけど、手間がかかるところに産業が生まれるから人間のやるべきことがでてくるわけだよ。

渡辺:ロボットに教える先生を人間がやる。

光吉:そう。模範となるべきものは人間だから。

渡辺:たしかに。

光吉:人間は一歩出てる必要があるから、当たり前のように空海を超えるひとはでてくるはずだし。

渡辺:ロボットが人間に教えることも?

光吉:お互いに進化していくんだよね。ロボットと人間が。

渡辺:うんうん。

光吉:技術ってそうだったでしょ。
今まで人間は、西洋的な即物的・唯物史観的なものが優先されて進化・成長したけど、今度は心とか道徳とかを中心に進化する。それで初めてバランスが取れるんじゃない。物質文明と精神文明が。

渡辺:なるほど。

光吉:バランスが取れて、健全な状況になっていくんじゃないかなと。

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超自我ロボットが人類の精神文明発展のカギ

渡辺:Pepperに超自我を入れて、3年後には大学生くらいにしようという記事を読んだことがあります。

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光吉:そう。それが鄭先生とやってる道徳。道徳って超自我だから道徳数理工学なんだよ。

道徳をPepperに入れるために数理工学にして数式に落としこむ。

渡辺:数式ができたら再現性がありますね。

光吉:そうそう。誰でも使えるでしょ。

渡辺:超自我をインストールされたPepperと対話すると人間はどう変わっていくんですかね。

光吉:人間は戦争をやめないでしょ。いじめ・虐待もなくならない。ちょっと自分と違うものも許せないでしょ。要はダイバシティな世界をつくるには人間だけでは無理だって思ってて。

渡辺:なるほど!

光吉:4000年間やってもわかんないんだから。
そうすると違う種のものが出てきて、これと対話することで、人間はいかにアホくさいことをしてきたかを気がつくということ。この気づきの作業をしたいんだよね。これはぼくの気持ち。

渡辺:なるほど。

光吉:孫さんとはちょっと違うかな。同じ方向を向いているんだけど、孫さんにはビジネスがあるからね。

渡辺:へー!おもしろいですね。そうすると人類が進化するかもしれない。

光吉:そうそうそう。文明に合わせて心の部分も発展させる。
オカルトではなくちゃんとサイエンスで、道徳というものを理解して持てば、変なものにお布施を払う必要もないでしょ(笑)。
心と心のコミュニケーションをして気づきを与える。アトムってそういう漫画だったからね。人間の残酷さをロボットを通して描いてたから。同じことが起きるんだよ。

渡辺:すごいな。やばいですね!
超自我が入ったロボットが全家庭にあるのが理想なんですね。

光吉:そう。家庭で起こる悲劇を未病のように先に察知して、病気だとか、いじめだとか、虐待とかを防止する。
アジアからの問い合わせも増えてきていて。韓国、中国、民族関係なく困ったひとがいたら助けにいくのが科学者だから。

渡辺:学校でもどんどん導入したいですよね。閉鎖的で危険な場所になっているみたいですし。

光吉:たぶんそういうことではないかな。いじめとか。
日本の場合は、教育でガキ大将を駆逐しちゃったから、まとめ役がいなくて、アメーバのように犯人ない犯罪が横行してんだよね。

渡辺:うんうん。

光吉:だから、サラリーマン社会主義になって、サラリーマンどうしがおたがいに首絞め合ってうつ病になったりとか、子供どうしがお互いを阻害しあうとか。
独裁者がいないのに密告村ができている状況になってるじゃん、日本が。これをぶっ壊したいんだよね。

渡辺:たしかに構造的に捉えて科学的に解決しないとダメですよね。変な教育評論家みたいなのがいろいろ言っても。

光吉:無理だよ。オカルトが何やっても無理だから。科学で汚した心は、科学で治すしかないんだよ。

渡辺:なるほどな。

光吉:お祈りじゃ通じないよね。だってその昔、サイエンスがなかったころは御札とかお布施だったわけでしょ。サイエンスがあるなら、御札とお祈りと経文っていうのは、数式であり、プログラムであり、文章だから。それでひとの心を変えないとダメでしょ。
昔は字を読めないひとが多かったでしょ。だから、絵とか曼荼羅にして分かるようにしたんだからさ。そこはCG使ったっていいわけだしさ。
人間の寿命80年間でそんな進化するわけないじゃん。そのなかでツールが進化した、それを使って新しいことをしようよっていって新しい産業とかビジネスが生まれるわけじゃん。

渡辺:はい。

光吉:それをやりゃいいんだよね。商売の原点って必要なものか、未来にほしいものでしょ。未来にほしいものなんて一般のひとに聞いてもでねーよ。これだけ物質的に満たされてると「べつに」ってなるじゃん。

渡辺:そうですね。

光吉:そしたらプロが押し付けて「これいいだろ!」っていうのが、これが産業なんだよ。
これを日本は「マーケット」っていうのを取り入れて、専門家の知識を軽視しちゃったもんだから。
それを孫さんがPepperで見せようとしたんだよ。

渡辺:そうですよね。今の日本の産業も過剰サービスばかりやってる。

光吉:多数決で決まらないこともあるんだってことを教えないとプロがいる意味ないんだよ。

渡辺:だから新しいイノベーティブなものが日本から生まれてないですよね。

光吉:おれたちいる意味ぜんぜんないじゃんってなりますよね。

渡辺:ロボットがもっと進化すると、ロボットと飲みに行くみたいこともあるんですかね。

光吉:ロボットの愚痴を人間が我慢して聞いてる世界ってすごくおもしろいよね(笑)。

渡辺:「お前飲め!」とかいってロボットに飲ませるとか(笑)。

光吉:ロボットには専用オイルとか用意して。「これってカストロール(車用のオイル)?」みたいな。そういうのがおもしろい。

渡辺:ぐだぐだロボットと飲んでるだけの番組とかも見てみたいかも。

光吉:われわれはすでに高い技術力を持ってるんだから、それを使って面白いことをやらないとね。「そんなすごい技術があるのに、なんでこれ作ったかな?」みたいな。
でも、そんな技術を使って孫さんも言っているような「笑い声のある社会」を作れればうれしいですよね。

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光吉先生

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