Pepperの感情を生み出した天才で変態〜光吉俊二が感情にフォーカスする理由〜#01

2017.1.19

ソフトバンク社のロボット「Pepper」の感情エンジンを生み出した研究者をご存知だろうか。孫正義氏が惚れ込んだ技術を開発したのは、美大卒の彫刻家、空手5段、そして数学、工学、医学、生理学など幅広い知識を持つ「天才」と呼ばれる光吉俊二氏(51歳)だ。

大学時代に勝新太郎さんから勝新流の豪快な遊びを学び、国宝級の刀を何本も所有している光吉氏。「筋トレやって刀見つめて昼寝してたらアルゴリズムが浮かぶ」という天才(変態)ぶりだ。

光吉さん
Pepperの感情認識エンジンを生み出した光吉俊二氏
多摩美術大学・美術学部彫刻科卒業後、彫刻家として活動。その後、スタンフォード大学バイオロボティクスラボラトリ・客員研究員などを経て、徳島大学大学院 工学系研究科にて博士号(工学)取得。現在、東京大学大学院医学系研究科特任講師をしながら、ソフトバンクグループにて研究開発にも従事。

心筋梗塞で倒れたにもかかわらず、心筋や脳細胞は死ぬどころか若返っているという、常人ではありえない細胞の持ち主でもある。
そんなぶっ飛んだ光吉氏が「感情」にフォーカスした理由は何だったのか。そして感情ロボットと人間の関係についてどのような未来を描いているのか。『CATALYST』監修役の渡辺が核心に迫る。今回は3回連続の第1回。

高田純次ようなの性格×ビートたけしのような人生 それが光吉俊二

渡辺健太郎(以下、渡辺):もともといろんなスポーツをされていたんですよね。

光吉俊二(以下、光吉):空手は5段持ってます。6歳のときから格闘技やってて。もともとは柔術空手なんだけど、40年前だから誰も知らないけどね。
和道会というのがあってそこから始まって、極真、キックボクシング、中国拳法もちょっとやったかな。スキーやったり。スキーは資格持ってたけど、しばらくやってなくて。

渡辺:スポーツだけじゃなくて、芸術家でもある。

光吉:多摩美大にいって彫刻もやってましたね。

渡辺:美大で彫刻やった理由は。

光吉:2人キレイな同級生がいて、2人とも彫刻科にいったので。そのひとを追いかけていったんですけど。後日談があって、行った学校間違っちゃった(笑)。
2人は造形大と武蔵野美大にいっちゃて、ぼくはどっちでもない多摩美大にいったんですよ。
そういう性格なんです。ツメが甘いから、(自分のビジネスで)売り上げは相当あったんだけど、売り上げ以上に研究費を使っちゃって。だからソフトバンクグループに加わり、研究者になったんですよ。

渡辺:ソフトバンクグループに加わった会社というのは?

光吉:音声感情認識技術の株式会社AGIという会社ですね。一方でソフトバンクとは関係ないのですが医療用に研究を深めているのがPST株式会社。これは様々な企業にお手伝い頂いて、東大もバックアップして頂いてます。

渡辺:音声から病気を分析する。音声からという着目点は同じなんですよね。

光吉:そうそう、着目点は同じで、医療用にさらに研究を深めるために作った会社ですね。

渡辺:ずっと感情にフォーカスされていると思うんですけど、最初にそこにいこうと思ったきっかけは。
もともとぼくが普通じゃないので(笑)。ひとの気持ちが機械で分かるようになれば、ひととのコミュニケーションも少しはうまくいくかなと。

渡辺:自分を補完するための機械みたいな。

光吉:そう、それに近いですね。
でも他にも色々とやっているんですよ。そうしたら何が何なのかわかんなくなっちゃった(笑)。
高田純次さんみたいな人生で、たけしさん(ビートたけし)みたいな性格で研究してるって感じですね。何が何だかわかんない感じ。

渡辺:たしかに。分かりやすいけど、統合するとどうなるんだみたいな。

光吉:まったくぐちゃぐちゃになっちゃう。

渡辺:いろんな取材を拝見させていただいて、感情認識のカギが音声ということなんですが、それはたまたまですか?

光吉:たしか、あれは大阪の会社からの仕事で、3Dスキャナーに合うソフトの開発をできないかという話があったんです。内容は、例えば映画監督が指示を出したら、コンピューター上で俳優さんが自動で動くようにするというのもの。
でも、こいつ(Pepper)もまだ全然だめだけど、いまだに音声認識ってまともに動かないじゃないですか。なぜかなと思ったら、感情がわかんねーんだということに気がついて。じゃ何かいい感情認識技術がないか探したら全然ないから、自分でつくることにしたんですよ。

渡辺:それが何年頃ですか。

光吉:1999年くらいかな。

渡辺:そこから文献を読み漁って研究したわけですね。

光吉:そう。やったんだけど、お前、彫刻家のくせに学者の世界に入ってくるなって、いろんな方々からいじめられましたよ。
それで頭に来たんで、博士号取ったら、皆何も言えなくなって。「こらあ」って感じですよ(笑)。

渡辺:いかついひとが学者の世界の入ってきたんで、みんなビビったわけですね。

光吉:だと思いますね(笑)。それから研究を深めていき、ソフトウエアも作り、その後ソフトバンクに気に入られて、今やもう一体化して、次の時代のコンピュータのプラットフォームにしたいねと毎度盛り上がっているんですよ。

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次回は、ロボットに道徳をインストールする新テクノロジー「道徳感情数理工学」で生み出される超自我ロボットの登場で、社会はどう変わるのかが語られる。

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光吉先生

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