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全4回連載 ドローン空撮クリエイター「大前創希」の空撮講座 準備編(第2回)

ドローン空撮クリエイター大前創希氏の空撮連載(全4回)。第1回は、大前氏が空撮クリエイターとして活躍する素地はどのようにしてできたのか、学生時代にさかのぼり彼の人物像にフォーカスを当てた。

第2回となる今回から第4回に渡り、6月11日福岡県東峰村で開催された竹棚田の火祭りの空撮を事例に、実践にフォーカスしさまざまな空撮ティップスをお届けする。

第2回は「空撮準備編」と題して、大前氏の経験を踏まえ、飛行申請から機体の確認事項まで、ティップスと裏ワザを紹介する。

大前創希直伝 失敗しないための空撮準備&申請

ー今回は空撮準備について大前さんの経験からいろいろと学びたいと思います。よろしくお願いします。

はい、よろしくお願いします。

ープロフェッショナルの空撮プロジェクトで、まずしなくてはならないことはなんでしょうか。

空撮の依頼を受けたらまず、空撮する「場所」と「方法」の確認が必要ですね。

空撮の場所に関しては、人口集中地区(DID)かどうか、空港の近くかどうか、150メートル以上がどうか、を確認する必要があります。

-空撮現場がこれらに該当する場合、どうなるのですか。

国土交通省に飛行申請を提出する必要があります。

-なるほど。これらに該当しない場合は、特に申請は必要ないということですか。

国の規制だけでなくて、市区町村レベルでも規制があるので、それもちゃんと確認しないとだめですね。

たとえば、公園でラジコンを飛ばしてはいけないなど。

人口集中地区でなくても民家の上空を飛ばすときなどもそう。

ーその場合は、市区町村の役場に話をする必要があるということですね。

そうそう。市区町村に空撮の目的をしっかり話をしていれば、協力を得られやすくなりますよ。

意外と役場のひとたちはドローンに対して好意的なので、めんどくさがらずに、空撮目的をしっかり説明してください。

ーそうですね。最近ではドローンを活用したいという役場が増えていると聞きますし。

ー空撮の「方法」に関してはどのようなことに注意すればよいですか

基本的に、夜間飛行、目視外飛行、人・建物・乗り物から30メートル未満の飛行、祭りなどひとが集まるイベントでの飛行、ドローンで物を運搬するとき、に申請が必要になります。

6月11日に、福岡県東峰村の竹棚田の火祭りを空撮しましたが、このときは「夜間飛行」と「イベントでの飛行」に該当したので、国土交通省への申請が必要でした。

ー国土交通省への申請が通りやすくなるティップスってあるのでしょうか。

ありますよ。

自分のパイロットスキルがどれくらいのレベルなのか分かりやすくリスト化することですね。

これまでにどこで何時間くらい飛ばしたのか、という情報をしっかり書くこと。

もしインシデントがあれば、それも書くのが好ましいです。

ーどれくらいのパイロットスキルがあればよいのでしょうか。

明確な基準は分からないけど、最低ラインは10時間以上の飛行時間が必要かな。

今は確かめる方法がないから自己申告だけど、今後はDJI社のドローンとかであれば飛行データを提示するとかも効果があるかもしれないですね。

ーこれから飛行申請が増えそうだなというひとは飛行データをしっかり記録しておくのがよさそうですね。

そうだね。あとはインシデントが発生した場合の対処手順など、自分たちのレギュレーションを持っておくことも重要。

個別空撮プロジェクトでは、離発着の場所を明確にして、そこが平地なのかどうか、夜の場合は離発着の場所をどのように照らすのか、などを明確にすること。

ーなるほど。申請時間はどれくらいを見ておけばよいですか。

初めての申請は6週間くらい見ておくのがよいかな。何度もやりとりするかもしれないから。

ー6週間ですか。けっこうかかりますね。

最短だと3週間くらい。国交省が忙しい時期かそうでないかで、前後するかもしれないけど。

ただ、国交省も飛行申請の簡素化を目指していて、DJIの機体なら整備マニュアルが要らないなどの措置を取り始めてますよ。

あと最近、国交省内に専門部隊ができて、申請から許可が下りるまでのスピードは速くなってますよ。

ーへー、それは知らなかったです。国交省側が分かりやすいように申請書を書くということも重要になってきますね。

ー空撮準備段階で、機体に関するティップスはありますか。

空撮直前でファームウェアのアップデートはしない方がいいかな。新しいファームウェアはトラブルが起きやすいから。

安定しているものを使うべきですね。キャリブレーションも必ずやったほうがいい。

ー過去になにかトラブルが。

そうそう。キャリブレーションなしで飛ばそうとしたとき、ローターが1個うまく回らなくて、ドローンが変な方向に飛んで行ったという経験が。

ーそれは怖い。原因は何だったのですか。

バッテリーの電圧が低くて、ローターがうまく機能しなかったみたいで。幸いなことにしばらく上空を飛ばしていたら、電圧が戻って、ちゃんと飛ぶようになりましたよ。

だから、本番で飛ばす前は必ず近場でキャリブレーションやってから1分くらい低めにホバリングして、バッテリーの電圧を確認するんですよ。

もし、変な方向に飛んで行くようであれば、機体を下げるのではなく、上げて旋回させることですね。ほとんどバッテリーの低電圧が原因だから、その場合は飛ばしているうちに、電圧が戻ってきて、旋回の幅が狭くなってくるのを待つ。

ーなるほど、トラブルになったら機体を下げるのではなく上げる。

下手に下げて、人や周囲の物に接触することを避けることが目的なのと、ローターが地面に接触し破損する危険も回避するためですね。

ーバッテリーの電圧が低くなりにくい方法などあれば、教えてほしいです。

バッテリーの温度を下げないこと。気をつけるのは冬場で、特にゼロ度以下の環境で飛ばすとき。5度以下でも注意すべき。

一度、ドローン仲間何人かで雪山に行ってドローンを飛ばしたことがあるけど、仲間のドローンの多くが低電圧で飛ばなかったもんね。

私はお腹のところにバッテリーとカイロを一緒に入れて、飛ばす直前までバッテリーを温めていたからトラブルなく飛ばすことができたんですよ(笑)

持ち運び中も電圧が下がらないようにバッテリーを入れるバッグ(保冷保温ができるピクニックバッグのようなもの)にカイロをいくつか入れておくのもポイントですね。

ー冬場はバッテリーの電圧低下に注意が必要ということですね。夏場の注意事項はありますか。

夏場は、ゲリラ豪雨に気をつけないと。一般的にドローンは雨に弱いため、天気が怪しい時は周囲に雨雲が発生してないかチェックするのが重要です。

私は「アメミル」というアプリで、雨雲の動きをチェックしてますよ。

天気予報で雨となっていても、雨雲の動きに敏感になれば、雨が止んだ瞬間を狙って空撮することもできますからね。

雨雲からさす光と地面が濡れているところを撮るとけっこう綺麗なんですよ。

ーなるほど。季節ごとにも気をつけることが変わってくるんですね。飛行申請に関してもいろいろと明確になってとても勉強になりました。

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大前創希氏直伝の空撮ティップス準備編をお届けした第2回。次回は空撮本番でのさまざまなティップスをお伝えする。

大前創希氏の人物像に迫った連載第1~4回の記事はこちら


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