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シンギュラリティ大学が注目ー次世代風力発電の担い手Semtive

PEZY Computing代表取締役社長の齊藤元章氏との対談で、衣食住など生活に関わるあらゆるものがフリーになり、私たちは「不労」と「不老」を手に入れる時代がやってくる可能性をお伝えした。これまでの価値観が根底から覆されるこの状況は「プレシンギュラリティ(社会的特異点)」と呼ばれている。

プレシンギュラリティはいつ実現するのか。

齊藤氏曰く、それは2025年頃に実現するという。

10年以内に「不老」と「不労」の世界がやってくる。現時点では想像しがたい事実だが、テクノロジーのエクスポネンシャル(指数関数的)な発展を目の当たりにすると、プレシンギュラリティが実現するかもしれないと思えてくる。

プレシンギュラリティを実現する重要な要素の1つがエネルギーだ。まずエネルギーがフリーになることで、衣食住のコストが格段に下がり、最終的にはあらゆるものがフリーになるというわけだ。

エネルギー分野のテクノロジーは、大規模集中型から小型分散型へとシフトしながら急速に進化している。Tesla Motors社がこのほど発表した太陽光パネルはまさにその流れを示すものだ。

Tesla Motors社だけでない。シリコンバレーには多くのエネルギーベンチャー企業があり、革新的なテクノロジーの開発を進めている。

シリコンバレーのなかでも特にイノベーションハブとして世界から注目を集めるグローバルコミュニティ「シンギュラリティ大学」には、先端テクノロジーを活用したイノベーションの実現を目指すベンチャー企業が多く集結している。

『CATALYST』取材班は、シンギュラリティ大学のイノベーションラボで革新的なテクノロジー開発に挑む企業数社に話を聞くことができた。今回はそのうちの1社、次世代風力タービンを開発しているSemtive社のテクノロジーについて紹介したい。

小型分散型のエネルギーシステムを促進する次世代風力タービン

Semtive社は2009年にアルゼンチンで設立され、現在シンギュラリティ大学ラボのポートフォリオ企業34社のうちの1社となった、次世代風力タービンでエネルギー革命を担う注目企業だ。

起業時はCEOのイグナシオ・フアレス氏とCFOのニコラス・キャネバロ氏の2人だけだったが、現在(2016年11月)10人のチームに拡大した。

Image titleSemtive社が開発する次世代風力タービン

Semtive社のマーケティング責任者ソフィア・ガルシア氏は、同社が開発する次世代風力タービンは旧型の風力タービン(風車型)が抱える多くの課題を解決できると説明する。

Image titleソフィア氏

次世代風力タービンは、見てのとおりこれまでのような風車型ではない。このように垂直型にすることで小型化が可能となり、住宅の屋根に設置したり、持ち運んだりできるようになるという。また風車型タービンでは回転しないような微風でも回転し、安定した電力供給が可能になる。

旧型の風力発電が抱える主な課題は、設備が大規模になりがちで建設コストがかさむことや、建設による自然破壊、騒音問題、鳥の衝突事故、出力変動など挙げられる。

Semtive社の次世代タービンは風力発電に関わるほとんどの課題をクリアできる。小型であるため製造・設置コストの大幅削減、発電効率の改善、出力変動の改善、騒音問題の改善などだ。

実際、同社の本拠地アルゼンチンでは、政府主導で次世代タービンの導入が進められており、ある街では街灯に設置され完全オフグリッドで運用されている。また今後2年間で中南米の各都市に70基以上を導入する計画もあるという。

設置できるのは、住宅から商業ビル、工業用ビルなど幅広く、太陽光発電を補完する形で導入できる。さらには、持ち運びが可能なポータブル版は、自然災害や紛争などで孤立した地域での電力供給を可能にする。

Semtive社の次世代風力タービンが示すのは風力と太陽光のコンビネーションによる小型分散型のエネルギー供給システムの未来だ。

テクノロジーの融合が生み出すエクスポネンシャルな進化

シンギュラリティ大学の共同創設者で人工知能の世界的権威レイ・カーツワイル氏がいうように、世界が「収穫加速の法則」に従って進化しているのであれば、テクノロジーもまた同じくこの法則によって進化する。

Semtive社の次世代風力タービンは今後どのような進化を遂げるのか。シンギュラリティ大学ラボという世界最高峰のイノベーションハブに拠点を構えていることから予想できるのは、さまざまな先端テクノロジーとの融合による収穫逓増的な進化なのかもしれない。

人工知能、3Dプリント、ナノテクノロジーなどシンギュラリティ大学が力を入れるテクノロジーと融合し、さらに発電効率、製造効率、コスト削減が進む可能性はあるだろう。

太陽光発電や核融合炉などほかのエネルギーテクノロジーも加速度的に進化している事実を踏まえると、エネルギーのフリー化からプレシンギュラリティに到達する道筋が少しは見えてくるのではないだろうか。


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