10年後、言葉がいらなくなる-シンギュラリティ-#06

2017.1.19

第5回では、人工知能の進化がもたらす新しい社会について議論した。経済の前提が大きくかわり、人類が労働から開放される社会だ。

一方で、進化を続ける人工知能に人類がどのように対抗するのかという課題もある。
人類の進化は止まってしまい、人工知能に対抗できる手段を持つことはできないのだろうか。いや、そうではなさそうだ。我々の脳がコンピューターにつながり、全人類による巨大で緻密なネットワークができるかもしれないというのだ。それも数年の内に実現できるかもしれないという。第6回では、まもなくつながる脳とコンピューターについてお伝えしたい。

まるでSFの世界 まもなくつながる脳とコンピューター

齊藤元章(以下齊藤):もう一つ、我々が常識を払拭しなくてはいけないのは、個人は1人の人間で閉じてしまっているという当たり前の事実です。
ところが、おそらくこの常識が間もなく崩れ去ります。

個人の個性、基本的人権は保たれるのですが、それでもつながっていたいじゃないですか。
つながりたくても究極につながることができない、その制約条件は実は頭蓋骨なんですよ。

渡辺 健太郎(以下渡辺):頭蓋骨ですか。

齊藤:我々の意識とか知性とか感情というものの全ては、残念ながらこの1.3リットルの脳という形で頭蓋骨に閉じ込められているんですよ。

人工知能や機械的な知性が我々よりはるかに賢くなってしまったとき、この制約がある限りはそれらに対抗することは無理と言わざるをえません。

渡辺:対抗するには外部と接続できることが重要になる。

齊藤:そうなんです。
我々の脳のなかでは、1000億個の神経細胞が100兆個ものシナプス結合をもっていて、コネクトームという非常に複雑で緻密なネットワークを構成しているんです

現在のインターネットのような粗なネットワークではなくて、遥かに密度が高くてダイナミックに接続が変化できるような奇跡的な仕組みがあるんです。
この我々の脳のコネクトームを、まもなく頭蓋骨から開放することができるんですよ。

渡辺:まもなくですか!?

齊藤:ブレイン・コンピューター・インターフェースというのが色々なところで開発されていて、既に技術的には我々が寝ているときに見ている夢の映像などは、かなり正確に再現できるようになっているんです。

これは脳血流を見ていて、ある画を100パターンとか1000パターンとか見せて、こういう血流のときは、こういうマッピングで、と脳血流と画のパターン関連付けるわけです。
それを記録しておいて、夢をみたときとか目を閉じたときに、例えばりんごを想像したときには、その脳血流のパターンになって、色や形や大きさを詳細に再現できるんです。

渡辺:血流をスキャンすることで何をイメージしているかが分かると。すごいですね。

齊藤:現在は非接触のfMRIでやっているんですが、ただこれは脳表面に小さいセンサーをつけるともっと精密に分かるんです。
脳血流は間接的なデータなので、脳波を直接ディテクトできるようになると、もっと正確に分かります。

実はまだ極秘の研究を、先日とある研究室で見せてもらったんですが、脳波を使うことでロボットの2本の手を、指先を含めて、完全に意のままに、繊細にコントロールできていました。

渡辺:超能力のような世界ですよね。

齊藤:要は、人間の脳とコンピューターはつながりつつあって、あと数年するとほぼ確実に完全につながるようになります。

渡辺:数年なんですか。

齊藤:数年です。
人間とコンピューターがつながると、コンピューターを介して、でもそれを意識することなしに、ここで僕は渡辺さんと言葉を介さずにテレパシーのように会話できるようになるんですよ。

渡辺:言語というインターフェースが要らなくなる。

齊藤:言語っていうのは、直接つながってないまったく違う個人とのコミュニケーションを取るために共通のインターフェースと存在しているだけなので、それも要らなくなります。

あと数年で脳とコンピューターが繋がる世界が訪れる。
コンピューター上でのコミュニケーションは言語が要らなくなり、言葉の壁を超えた全人類によるネットワークが出現する可能性があるという。
次回は、全人類がネットワークでつながるとき、いったいなにが起こるのか、をお伝えする。

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