宇宙からの脅威に立ち向かう人工知能-シンギュラリティ-#04

2017.1.19

第3回では、人類と人工知能がタッグを組めば、温暖化など地球規模の課題だけでなく、太陽フレアなど宇宙規模の課題にも解決策を見いだせるかもしれないことが分かった。なぜそのようなことが可能になるのか。人工知能にはなにが見えるのだろうか。

太陽フレアの脅威

齊藤 元章(以下:齊藤):地球温暖化の話も切迫してますけど、個人的には太陽フレアも相当の差し迫った脅威であると感じています。

これはあまり知られていないことですが、昨年、地球は僅か4日違いで、1859年のキャリントン・イベントと同レベルの甚大な電磁波障害による壊滅的な被害を免れていたんです。
キャリントン・イベントクラスの太陽フレアによる電磁波障害は過去500年周期で起こっていることが分かっています。ただ、人類は500年周期のものしか過去の記録を遡れないんです。年千年、何万年周期のものもきっとあるんですよ。
でもそれが分からないから、もしかしたら巨大な太陽フレアが明日、地球を直撃するかもしれないのです。

渡辺 健太郎(以下:渡辺):それは怖いですね。

齊藤:実際、キャリントン・イベントがあった時代でも、電力網は整備されていなかったものの通信システムは既に整っていて、通信用鉄塔がほとんど焼け落ちていますし、通信士のような方が何名か亡くなっています。

これが、電気に頼りきっている現代社会で起こると大変なことになります。電力網が全て破壊されて電気が止まりますが、それによって水道もガスも全部止まるんですよ。輸送システムも破綻して食糧の配送も止まるので、アメリカのレポートにあるようにほんの1か月で人口の9割、即ち都市部の全人口が失われてしまうことになります。

渡辺:恐ろしいですね。電気が止まったら生きていけない。

齊藤:電気設備が全部焼け落ちてしまうので、簡単に復旧もできない。全てゼロから作り直さないといけないでしょう。
ところが、電気も自給自足できるようにマンションに1台くらい小型の核熱融合炉みたいなのが設置できると、送電線もいらないですし、国全体が麻痺するようなこともなくなる。

詰まる所、完全に自立できるレベルを個人の家庭レベルまで、衣食住全部自立できるレベルにしなければいけないということになります。これは、技術的には難しくないところまできているので非現実的な話ではありません。

渡辺:その問題をコンピューティングでいうと、更に太陽フレアのようなものを予測できるようになると。

齊藤:太陽フレアに関しては、宇宙天気予報として研究している先生方がいらっしゃいます。
地震予知もできないと言われていますが、これは実はできるようになるんですよ。

渡辺:それはいつぐらいになるんでしょうか。

齊藤:そんなにかからないと思いますね。5年とか。

渡辺:そうなんですか。

人間には認識できないパターンが見えるようになる人工知能

齊藤:太陽フレア予測などの宇宙天気予報は、画像認証と同じ末路をたどると思います。
10年前、画像認識はとても大変でした。コンピューターが人間の画像認識力を超えるなんて誰も予想しなかったんですけれど、去年いよいよ人間よりも認識率が高くなった。あるいは、誤認率が人間より低くなってしまった。

これが意味するところは非常に重要で、ディープラーニングで人工知能には人間には見えていないパターン(特徴量・特徴点)が見えてしまっている。我々人間にはまったく理解できないようなパターンを見出してしまっている、ということなんです。

地震予知に関しても、基礎データは十分あって、人間が見ると複雑すぎてノイズにしか見えないという話でしかないと思っています。あるいはものすごく複雑であるが故に、人間には特定のパターンとして認識できていないだけでしょう。

ただ、ディープラーニングなのか、なんらかの人工知能的な解析をもっと多くの方法で処理すると、たぶん沢山の意味のあるパターンが見い出せるはずなのです。結果としては、人工知能に予知の手法を提案させるようなこともできるようなるでしょう。

渡辺:すごいですね。ここで大地震が起こるとわかると、土地とか市場経済の前提が変わってしまいますよね。

齊藤:経済も破綻しかかっていますけれど、お金があって、経済が合理的に存在しているのはそれほど長い期間ではないだろうと思います。

渡辺:たしかに、「経済」がって言っているのがバカバカしくなってきますね。

人工知能が進化を続けると、そのうち人間には認識できない複雑なパターンを認識できるようになり、地震予知や太陽フレア予知などに応用できるようになる。これは社会に大きな変化をもたらすことになるだろう。
次回は、市場経済の前提が崩れ去るとき、どんな変化が起こるのかについてを語る。

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