2019年に起こる衝撃的な出来事-シンギュラリティ-#10

2017.1.19

最終回となる今回は、数年後に始まるかもしれない「プレシンギュラリティ」について議論したい。
「シンギュラリティ」が起こる前の段階で、遺伝子工学やナノテクノロジーの進化で我々の生活が豊かになっていくと言われているのが「プレシンギュラリティ」だ。
プレシンギュラリティの世界ではいったいなにが起こるのか。そしてテクノロジーの発展は、貧困や戦争、地球温暖化など難題に直面する我々をどこに導いてくれるのか。

2019年はプレシンギュラリティに向かって加速する年に

齊藤 元章(以下齊藤):定義の問題もありますけど、もともとレイ・カーツワイル氏も2029年には1台のコンピューターが1人の人間の知能を超えると言っているのですが、たぶん1人の人間の知能を超えることと73億人の知能を超えることにそう大きな差がないことは、あまり指摘されていないかと思います。

人間の脳の動作速度はすごく遅いんですよ。1秒間に1回とか数回しか脳神経は発火できません。翻って半導体は1秒間に数十億回も発火できるので、半導体に置き換えた瞬間に10億人分になるんですよ。

但し、人間の知性は1000億個の神経細胞と100兆個のシナプスがないとつくれないと思っています。
しかも、それはノイマン型のコンピューティングの延長線上にはないので、どんなに高速なスパコンをつくっても、どんなに高速な人工知能エンジンをつくっても、そこに汎用性は生まれてはきません。

ですから、愚直に1000億個の神経細胞と100兆個のシナプスを持った人間の脳をつくらないといけないと考えています。
我々は、まずスパコンを開発し、次には人工知能エンジンも開発していますが、その先には、非ノイマン型のニューロモーフィックな人間の脳を真似た汎用人工知能をつくろうとしているのです。

ただその構築には、生命体の有機構造体ではなく半導体を使いますので、動作した瞬間に人間の脳より10億倍性能が高いことになります。
73億人であれば、そこから高々7倍、8倍にすればいいだけですから縦横高さ方向に、それぞれ2倍ずつ大きくしてあげれば簡単に80億人分になってしまいます。

だから、人間1人分の汎用人工知能ができた瞬間に、それを80億人分にするのはそんなに時間がかかる話ではありません。

渡辺 健太郎(以下渡辺):2019年にプレシンギュラリティに向かっていく、走り始めるということは、いまよりさらに強烈な仮説がバンバンでてくる。

齊藤:そうですね。たとえば、いきなり統一場理論がでてくるかもしれないと期待しています。

プレシンギュラリティの世界を見据え考えるべきこと

渡辺:そうすると、プレシンギュラリティとかシンギュラリティが多くのひとの間で、そういうことが起こるという認識もかなり進んで東京オリンピック前にはかなりのひとが働かなくてもいい新しい世界がやってくると考える可能性がありますよね。

齊藤:そうですね。東京オリンピックをやるときには世の中ガラッと変わっているかもしれないですね。そうなると本当に東京オリンピックはやるのかという話にもなるかもしれないですが。

渡辺:いまの話を聞いてオリンピックってすごく小さい話に思えてきましたね(笑)

齊藤:どうせなら、AIオリンピックとかスパコンオリンピックとかになってくれたら、などとは思います。どうせなら東京から、オリンピックの歴史を変えても良いかもしれないですし。

でもプレシンギュラリティを迎えた後には、スポーツするひとも沢山出てくるでしょう。

渡辺:余暇が増えるからそういうひとは増えるでしょうね。よりエクストリームなスポーツがどんどん発明されていきそうですし。

齊藤:リアルな世界だけでなく、バーチャルな世界を組み合わせた高度でハイブリッドなスポーツも生まれるかもしれないです。
本当に、我々は幸せだと思いませんか?70年前だったら、戦争にいかないといけない、飢えで死んでしまうかもしれない、ちょっとした結核で亡くなるということもあった。

それがたった70年しか経ってないですけど、宇宙の隅々まで知性を行き渡らせることができるかもしれない、とこうして議論しているわけですから、すごいことですよね。

あと10年くらいしたら、もう寿命も気にしなくてよくなっているはずですし。

渡辺:そうですよね。働くという制約、ライフプランというのはいまの平均寿命をイメージして逆算して考えていますが、その前提が変わるので、もっと多くのチャレンジができるようになる。

齊藤:限られた時間というなかでやれることには限界がありましたが、今後は時間が無限にあるなかで、やりたいことをとことん追求できる、これが本来の正しい方向性なのだろうと思います。

渡辺:そうなれば、人類が何かを発見していくとことも加速していきますよね。

齊藤:もちろんそうなりますね。たぶん時間が無限になって、衣食住が足りるようになると、ひとと争うとか、収奪するだとか地球環境を破壊するという発想自体が、まずはなくなると思います。

渡辺:そうですね。所有の概念が戦争を生んでいるとも言えますし。

齊藤:奪い合うものがあるから、争いがあるわけですけれど。そういうモチベーション自体が、根源から、まったくなくなることが大事です。

もはや個別の対処療法などでは、戦争もテロもなくすことはできないですから。
格差社会も格差をなくそうといってやってみても、普通のやり方ではたぶん絶対に無理で、格差の根源を生んでいるお金自体をなくさないと格差はなくらないですよね。

渡辺:たしかに。それが思ったほど遠くない未来に実現すると。

齊藤:技術的には実現できるところに来ていますので、それを真剣にやらない手はないですね。

渡辺:いろんな問題を個別に取り組んでいますけど、テクノロジーに集約したほうがいろんな問題が速く解決しそうですよね。

齊藤:そうですね。そして残念ながら、その事実に一番明確に、正しく気が付いている国が、実は中国なのではないかと思うのです。

渡辺:だから、あんなにスパコンに投資している。

齊藤:スパコンと人工知能に莫大な投資をしていて、13次5カ年計画で、グランドチャレンジズという社会的課題を5つ挙げていて、エネルギー、食糧、軍事・安全保障、生命科学・医療、そして公害・天災。

これまで個別に対応してきたのですが効率悪すぎたことが明らかでした。ではどうするかというところで、そこは次世代スパコンを使ったらいっきに対応できてしまうと確実に理解している様に思われます。

だからあれほどスパコンに投資をしているし、もしかすると人工知能と組み合わせるということも既に考えているかもしれない。
我々も、負けない様に、その先を行ける様に、努力していく必要があります。

我々は第6段階を目撃することができるのか

渡辺:最後に、レイ・カーツワイル氏言っている第6段階は我々が生きている間に見ることができるのでしょか。

齊藤:生きている間といっても、望めばずっと死なない身体になりますからね(笑)

渡辺:愚問でしたね(笑)

齊藤:そう遠くない将来だと思いますよ。数十年とかですかね。

渡辺:数十年で第6段階、ぜひとも見てみたいですね。
その前に第5段階で73億人のコミュニケーションが無意識にできるようになる世界も体験したいですよね。
そう考えるとFacebookみたいなものがそのプロトタイプともいえますね。

齊藤:そうですね。それをプロトタイプと見るのか、そもそも電話もそうだったわけですし、人間ってどんなに満たされても、繋がってないと不安だったり、さみしかったりして、人間って、つくづく繋がる必然性があるんだなと思います。

渡辺:そもそも人間の欲求の方向がそうなっているということですね。

齊藤:25万年間かけてずっと実現しようと思ってきたことが、いよいよ初めて、究極的な形で繋がっていけるようになってきた訳です。この先が、楽しみで仕方ないですね。

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