ビーガン、ベジタリアン・・・ 健康志向の人が不健康になってしまう原因とは

2017.1.18

からだの不調や体質を改善する上で、「健康的な食事」は欠かせない。読者のなかにも、「オーガニック」や「ベジタリアン」など食のキーワードを意識し、生活に取り入れ始めているひとはいると思う。
しかし、どれだけ健康的な食事であっても、あやまったやり方で取り入れてしまえば逆効果だ。例えば、菜食主義の「ビーガン」が行き過ぎたあまり、体調不良を招いてしまうケースなどは最近目につく。

ビーガン・ベジタリアン健康志向の人ほど悩まされる「ヘルシー偏食」

こちらの記事に登場するビーガンブロガーのジョーダン・ヤンガーさんは、一年間のビーガン生活の末、「体力が落ち、ハイな気分は消えて常に疲労感に苛まれるようになり、唇は青く変色し、髪は抜け、肌はシミだらけになった」という。

偏食が「遅発性アレルギー」などからだの異常につながる可能性については、この『CATALYST』でも過去に記事で触れたことがある。健康志向の強い人ほど、こうした不健康な「ヘルシー偏食」には気をつけてほしい。

ヘルシー偏食による体調不良の原因は「タンパク質不足」

ヘルシー偏食がからだの異常につながっている主な原因は、人にとってもっとも重要な栄養素の一つ、「タンパク質」が圧倒的に不足しているからだ。

水分の次にからだの「原料」となっているのが、実はタンパク質。英語では「プロテイン」だが、その語源はギリシャ語の「proteus=プロテュース」。「一番最初の」「最も重要な」という意味がある。

人の筋肉や皮膚、内臓、骨にいたるまで、それらの主成分はタンパク質である。それだけでなく、人間のエネルギーにもなったり、過去の記事で取り上げた「ホルモン」の質を決める上でも重要な役割を果たしている。

つまり、人はタンパク質が不足すると、前出のブロガーのように見た目に不健康さがあらわれるだけでなく、ホルモンの質が落ちることでストレスへの対抗力も弱まり、「気だるさ」や「やる気のなさ」にもつながり、生活や仕事にも支障をきたしてしまうのだ。

ビーガンブロガーのジョーダン・ヤンガーさんも「ヘルシー偏食」を止めたことが彼女のインスタグラムから伺えるビーガンブロガーのジョーダン・ヤンガーさんも「ヘルシー偏食」を止めたことが彼女のインスタグラムから伺える

タンパク質不足はあなたの「女性らしさ」を損ねる

特に女性は、タンパク質不足に気をつけたほうがよいかもしれない。なぜなら、肌や爪、髪の毛、女性ホルモンなどの主な原料も、タンパク質だからだ。

「髪が痛みやすい」「肌が荒れる」というからだの外側の症状から「イライラする」「PMSの症状がひどい」などからだの内側の症状まで、心当たりある人はもしかしたらタンパク源の「質」が低下しているのかもしれない。

もちろん個人差はあるのだが、一般的に一日に必要なタンパク質は体重の1000分の1だと言われている。つまり、体重50kgの人は50g、100kgの人は100g。
「意外と簡単そうだ」と安心した人もいるかもしれない。ただ、摂取するにあたってはもう一つ、「重要な要素」がある。

タンパク源の質を左右する「必須アミノ酸」

それが、タンパク源の「質」である。必要な「量」を満たせばよいというものでもない。重要なのは「必須アミノ酸」をきちんと摂取することだ。
タンパク質は体内で消化されてアミノ酸になる。アミノ酸は肌や髪、爪だけでなく内臓、筋肉、骨、血管などからだのほぼすべてを作るのに重要な物質だ。

体内のアミノ酸は全部で20種類で構成されるが、そのうちからだが合成できる11種類のアミノ酸は「非必須アミノ酸」、からだが合成できない9種類は「必須アミノ酸」と呼ばれる。

からだが合成できない必須アミノ酸は、「食事」で確保しなければならない。

「プロテインスコア」を踏まえた献立作りを

つまり、必須アミノ酸を摂取できる献立にする必要がある。それには、私たちが日常的に食している食材における、タンパク源の質を表す「プロテインスコア」の一覧表を参考にしてほしい。

出典:『医学常識はウソだらけ』三石巌著出典:『医学常識はウソだらけ』三石巌著

プロテインスコアは、分子栄養学の権威である三石巌氏の『医学常識はウソだらけ』によると、必須アミノ酸が欠乏なく含まれている食品を示す指標。FAO(国連食糧農業機関)、WHO(世界保健機関)、UNU(国連大学)の三者による合同委員会によって定められている。

プロテインスコアが「100」に近い食品ほど良質なタンパク質を確保できることになる。スコアが100と満点になっているのは鶏卵のみ。一覧表の「必要量」は、体重50kgの人が、プロティンスコアの点数相当の必須アミノ酸を確保するために摂取しなければならない食材の量を示している。
驚きなのは、タンパク質の代名詞的食材である「大豆」がわずか「56」しかないことである。
50kgの体重の人が大豆を50g摂取したとしても、大豆に必須アミノ酸9つがすべて含有されているわけではないため、必要な必須アミノ酸の6割弱しか確保できないことになる。

そう考えると、必要な分だけタンパク質を確保することは簡単ではない。プロテインスコアが100である鶏卵1個あたりに含有されているタンパク質はわずか7グラムほど。つまり、体重50kgの人が必要量を確保するためには7個ほど摂取しなければならない。

ただ、卵だけを摂り続けるのはフードアレルギーの観点からも望ましくない。そのため、アミノ酸のバランスを改善する上では、プロテインスコアが高い食材をなるべく優先的に献立におくようにすることや、プロテインスコアが低い食材を摂るときには卵を一緒に摂ることがお勧めである。

今回の記事では、健康を得るためにもっとも重要な栄養素の一つであるタンパク質についてお伝えした。
ぜひ、日々の献立選びに活かしてみてほしい。

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ビーガン、ベジタリアン・・・ 健康志向の人が不健康になる原因は「ある栄養素」の不足

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