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英語はもう必要なくなる? イヤピース型自動翻訳機「Pilot」が登場

「技術的失業」に詳しい駒沢大学の井上智洋氏と『Catalyst』監修役の渡辺健太郎の対談では、2025年をメドに実現されると言われる「自動翻訳」の技術によって、社会や人間の雇用の状況が一変してしまう可能性について語られた。

なぜなら、自動翻訳の技術が実現すれば、語学力の価値は一定程度下がり、それによって職を失う人で出てくるであろうこと、またそれ以上に、これまでは言語が障壁となって交流をもてなかった人同士の交わりが爆発的に増えることが予想されるからである。

しかし、そんなインパクトのある自動翻訳の技術が、早くも来年(2017年)春に実現するかもしれないーー。

リアルタイムで自動翻訳、日本語にも対応予定

アメリカ・ニューヨーク拠点のWaverly labsが開発中の「Pilot」は、補聴器のようなイヤピース型のウェアラブルデバイス。音声認識と機械翻訳の機能を実装した専用のスマートフォンアプリとBluetoothでつないで使い、異なる言語同士の会話をリアルタイムで通訳してくれる。

例えば、自分が英語話者で相手がスペイン語話者だった場合、相手の話す言葉が英語で聞こえ、相手には自分が話す言葉がスペイン語で聞こえる。まるで『ドラえもん』のひみつ道具「ほんやくコンニャク」のような、これまでさまざまなサイエンスフィクションで描かれてきた技術である。

それだけではない。Pilotは、アプリの通話機能を使えば、対面していない相手との遠隔の会話も可能。カンファレンスモードを使えば、3つ以上の異なる言語を話す複数の人が集まっていても、話した人の声をアプリが拾い、それをイヤピースをつけた各人の指定した言語に訳してもくれる。

対応する言語は、2017年5月までに英語、スペイン語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語。2017年秋までにドイツ語、ヘブライ語、アラビア語、ロシア語、スラブ語、そして日本語を含む東アジアやアフリカの言葉にも対応する。2017年後半には、オフラインでも使えるようになる。

イヤピースは、満充電で4〜6時間の動作が可能。つけ心地とファッション性が考慮されたデザインで、色は赤・白・黒の三色。クラウドファンディングサイト「Indiegogo」で199ドル(約2万1000円)から事前購入が可能で、購入すれば、携帯チャージャーと2つめのイヤピースもついてくる。

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2億円超を調達済み、2017年5月にはユーザーの元に

開発チームは、リアルタイムな翻訳を目指してはいるものの、現在は2〜3秒のタイムラグがあることを認めている。その間隔を短くしようと改良中で、完了次第、アプリをアップデートする予定。機械翻訳の品質も、ユーザーが使えば使うほどアプリが学習し、改善されていくという。

Pilotはファウンダーのアンドリュー・オチョア氏が、ある英語を話すのが苦手なフランス人の女性と話せるようになりたいと思ったことがきっかけで開発したもの。2014年6月から、これまで約2年間かけて開発を行っている。

2016年5月からIndiegogoでキャンペーンを開始。現時点(2016年7月21日)で目標額を3175%と大幅に超過し、約260万ドル(約2億7000万円)を調達済み。この資金で、2016年11月にサンプルの制作を開始し、2017年5月、満を持して事前購入者へと発送される予定だ。

タイムラグと翻訳品質は限界こそあるだろうが、基本的なコミュニケーションであれば支障をきたさないほどには改善されるはずだ。そうすれば、人は語学力以上のスキルを磨いたり、語学のバリアを超えて実現したいことを思い描けるだけのクリエイティビティーを求められるに違いない。


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