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5000人の愛好家がドローンの世界に酔いしれた「NYCドローン映画祭」現地レポート

ドローン人気が日本以上に盛り上がりをみせるアメリカ・ニューヨーク。

去る3月4〜6日の3日間、ドローンで撮影された映画の祭典「NYCドローン映画祭  (The New York City Drone Film Festival)」の第2回目がニューヨークで開催され、クリエイターやドローン愛好家が一堂に集まった。冒頭の写真はメイン会場の様子である(Eric Cheng氏撮影)。

今年はメインスポンサーとしてGEの冠が付いた大規模なものとなった。初年度の昨年は1日だけの開催だったのが、2年目の今年は3日間にわたって開催。会場はマンハッタンに加えて、お隣ニュージャージーにも広がった。1月に販売開始した入場チケットは早くにソールドアウト。ドローンファンによる熱気に満ちあふれる3日間だった。

『Catalyst』の記者は今回初めて会場に足を踏み入れ、映画祭の主催者に話を聞くことができた。

スクリーニングや授賞式、パネルディスカッションなどが行われたメイン会場入り口。マンハッタン57丁目のDirectors Guild of America Theaterにて (Photo: Kasumi Abe)スクリーニングや授賞式、パネルディスカッションなどが行われたメイン会場入り口。マンハッタン57丁目のDirectors Guild of America Theaterにて (Photo: Kasumi Abe)

3日間3会場に拡大して開催

「今年もグレートサクセス(大成功)に終わったよ」と興奮気味に語るのは、「NYCドローン映画祭」の主催者であり、自身もドローン・フォトグラファーとして活躍するランディー・スコット・スラヴィンさん。

2日目はメイン会場で、スクリーニングの前に全4回のパネルディスカッションも開かれた。写真家や映像プロデューサー、ドローンパイロット、弁護士などさまざまな分野の専門家を迎え、ドローンの奥深い世界を紹介するための有意義な意見が積極的に飛び交った。

「テクニック的な話とかどうやったら多くの人がドローンをもっと使いこなせるようになるかといった、空撮写真に興味がある人にとってかなり充実したレクチャーになったと思う」と、ランディーさんは今年の様子を振り返った。

「NYCドローン映画祭」の主催者であり、自身も空撮をするランディー・スコット・スラヴィンさん (Photo: Eric Cheng)「NYCドローン映画祭」の主催者であり、自身も空撮をするランディー・スコット・スラヴィンさん (Photo: Eric Cheng)

彼がこのドローン映画祭を開催したのは昨年からだ。その発起のきっかけは何だったのか?

「以前自分が制作した空撮映像作品『AERIAL NYC』をたくさんの人に見てもらって再評価してもらうことがあってね。それで、自分でもドローン映画祭を開いてみたいと思ったんだ。フリージャンルで」とランディーさん。

3日間のキックオフは、ラグジュアリーなブティックホテルでのオープニングパーティーから。フェスティバルの核は翌2日目で、先ほどのパネルディスカッションほか、レッドカーペットや優秀作品の上映会、授賞式が行われた。

そして最終日はお隣ニュージャージーに会場を移し、ドローン・バトル・エクスポやドローン・レース・エクスポなども。

特にこのバトルやレースなどのイベントは一般向けの無料開放だったため、ランディーさんによると3日間の来場者は延べ5000人ほどに上ったとか。

「Day of Drones」と名付けられ、無料イベント「Drone Battling Expo」と「Invitational Drone Racing Expo」は一般開放された。ニュージャージーのThe Liberty Science Centerにて (Photo: Eric Cheng)「Day of Drones」と名付けられ、無料イベント「Drone Battling Expo」と「Invitational Drone Racing Expo」は一般開放された。ニュージャージーのThe Liberty Science Centerにて (Photo: Eric Cheng)

今年の優秀作品は全14作

気になる今年の受賞作品は、NYCドローン映画祭のウェブサイトで観ることができる。

2016年受賞作品

特に筆者の印象に残ったのは、以下の3作品だ。

EXTREME SPORTS - Afterglow Lightsuit Segment by Sweetgrass Productions

スキーヤーをこのような至近距離で並走撮影するのはヘリコプターでは不可能。ドローンだからこそ成し得る技だ。

2016 #NYCDFF EXTREME SPORTS & BEST IN SHOW WINNER: AFTERGLOW LIGHTSUIT SEGMENT by SWEETGRASS PRODUCTIONS from NYCDFF on Vimeo.

FREESTYLE FPV - Abandonado by Carlos Puertolas (Charpu)

本作品の「小さな窓を越えて向こう側に飛んで・・・」という演出もドローンならでは。特筆すべきは、宙返りの連続にもかかわらず酔わずに撮影を続けられるドロニストの高度なスキル。

2016 #NYCDFF FREESTYLE FPV WINNER: ABANDONADO by CARLOS PUERTOLAS (CHARPU) from NYCDFF on Vimeo.

LANDSCAPE - Wild Scotland by John Duncan

風景写真や映像が好きな読者にはこちらの作品がお勧め。ただただ美しいスコットランドの風景に思わずうっとりしてしまう。

2016 #NYCDFF LANDSCAPE WINNER: WILD SCOTLAND by JOHN DUNCAN from NYCDFF on Vimeo.

ランディーさんは「受賞の有無に関係なく、どれも甲乙つけがたく粒ぞろいだった」と、作品の全体的なクオリティーの高さを賞賛した。

では、優秀作品に選ばれたものとそうでないものとは、一体何が違うのかと問えば、「違いということでは、すべての作品がほかのどの作品とも違うように作られている。どの作品も唯一無二の内容で、本当に素晴らしいものばかりだった。受賞か否かの分かれ道は、ただ審査員と観客の嗜好による判断に過ぎない。例えば一般の映画にしても、どんな名作でも人によって好みの意見が分かれるでしょう?」。

よって評価の目が偏らぬよう、審査員の人選はアート、メディア、テクノロジーなどさまざまな分野からバランスよく行われた。世界的に有名な建築家ビャルケ・インゲルス(Bjarke Ingels)氏、テック系ファウンダーYahoo Techのデービッド・ポーグ(David Pogue)氏、スポンサー企業であるGEのCMOリンダ・ボフ(Linda Boff)氏ら、各界を牽引するオピニオンリーダー的存在の12人がラインナップ。これら審査員の名前からも、このドローン映画祭がいかに注目に値するものかが計り知れるだろう。

パネルディスカッションでは、フォトグラファーや映画ディレクター、ニュース番組プロデューサー、ドローンパイロット、エンターテインメント専門弁護士、DJI社のスタッフ(ポリシーリード)など、さまざまな分野の専門家らを迎えた (Photo: Eric Cheng)パネルディスカッションでは、フォトグラファーや映画ディレクター、ニュース番組プロデューサー、ドローンパイロット、エンターテインメント専門弁護士、DJI社のスタッフ(ポリシーリード)など、さまざまな分野の専門家らを迎えた (Photo: Eric Cheng)

ケイパビリティとポシビリティが備わったツール

まだ生まれたばかりの映画祭ではあるが、今後どういうものにしていきたいのだろうか?

「この第2回目を終え、来年への大きな1歩を踏んだことは確かだ。ファウンダーとして、この映画祭を今後もできるだけ長く継続していき、回を重ねるごとに大きく成長させていきたい」

さらにドローンの可能性については、「このツールには、ケイパビリティ(将来性や可能性とその能力)とポシビリティ(可能にすること)が備わっている。それは空撮やクリエイティブの分野でもそうだし、もっと視野を広げてみると、ドローンの世界というのは実に奥深い。例えばスポーツ界、さらにサーチ&レスキュー(捜索救難)、ヒューマンエフォート (人道的努力)など、ドローンができることは幅広い」

「Day of Drones」と名付けられ、無料イベント「Drone Battling Expo」と「Invitational Drone Racing Expo」が一般開放された。ニュージャージーのThe Liberty Science Centerにて (Photo: Eric Cheng)「Day of Drones」と名付けられ、無料イベント「Drone Battling Expo」と「Invitational Drone Racing Expo」が一般開放された。ニュージャージーのThe Liberty Science Centerにて (Photo: Eric Cheng)

映画祭の今後の抱負として、クリエイティブの中心に位置付けされるイベントになればという願いはもちろんのこと、「ドローンが可能にさせるさまざまな世界をインコーポレート(合体)させるきっかけになれば」とランディーさんは付け加えた。

ニューヨークで、そして世界で、今後もさらにドローンの注目度は高まっていくに違いない。

写真で振り返るNYCドローン映画祭

パネルディスカッションの3時からの会は、ABC局の番組プロデューサーやドローンパイロット、弁護士らが登壇し、制作現場におけるドローンの導入やその苦労話などについて、参加者にシェアした (Photo: Kasumi Abe)パネルディスカッションの3時からの会は、ABC局の番組プロデューサーやドローンパイロット、弁護士らが登壇し、制作現場におけるドローンの導入やその苦労話などについて、参加者にシェアした (Photo: Kasumi Abe)

2日目の会場内では、各種最新のドローンも展示され、参加者は手にとって見ることもできた (Photo: Kasumi Abe)2日目の会場内では、各種最新のドローンも展示され、参加者は手にとって見ることもできた (Photo: Kasumi Abe)

「Day of Drones」と名付けられ、無料イベント「Drone Battling Expo」と「Invitational Drone Racing Expo」が一般開放された。ニュージャージーのThe Liberty Science Centerにて (Photo: Eric Cheng)「Day of Drones」と名付けられ、無料イベント「Drone Battling Expo」と「Invitational Drone Racing Expo」が一般開放された。ニュージャージーのThe Liberty Science Centerにて (Photo: Eric Cheng)

2日目の会場。パネルディスカッションの後は参加者同士で交流をはかった  (Photo: Eric Cheng)2日目の会場。パネルディスカッションの後は参加者同士で交流をはかった  (Photo: Eric Cheng)

5000人の愛好家がドローンの世界に酔いしれた「NYCドローン映画祭」現地レポートPhoto: Eric Cheng

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