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Maker Faire 2016ーー宇宙開発とバイオテクノロジーが大注目!

Maker Faireというイベントをご存知だろうか。

ものづくりのコミックマーケット、という表現がいちばんわかりやすいだろう。メイカーと呼ばれる、趣味でモノづくりをしている人からハードウェアスタートアップまで、自分で作ったものを販売し情報交換を行うイベントだ。

Maker Faireと名のつくイベントは東京で2012年以降毎年開催されているほか、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)のある岐阜県大垣市、山口情報芸術センター(YCAM)のある山口県山口市でもMini Maker Faireが開催されている。

今回は、趣味メイカーである筆者から見たMaker Faire Tokyo 2016(以下:MFT2016)をご紹介する。

過去参加したMFTの経験を元にMFT2016の日本のメイカーたちはどんなものを作っているのか、いま起きている新たな動きを伝えていきたい。

「見て楽しい」要素が増えたMFT 2016

MFT2016では出展者はカテゴリごとに固まっており、「エデュケーション&キッズ」、「スペース&サイエンス」、「FAB&クラフト」、「ミュージック&サウンド」、「ロボティクス」、「スポンサー」、「エレクトロニクス&IoT」、「ドローン&ビークル」の8カテゴリ。

出展者の多いカテゴリは「エレクトロニクス&IoT」、「ロボティクス」、「FAB&クラフト」の3カテゴリで、これらは電子工作やロボコンなど日本特有のメイカー文化(注1)や、普及期に入った3Dプリンタの影響を強く感じさせ、以前から人気の高いカテゴリだ。

去年に比べて会場はより広くなり、FPVドローンレースや二足歩行ロボットの格闘大会など「見て楽しい」要素が増えたのが印象的だった。

手作り感のあるイベントから、より統率された意図の感じられるイベントになってきていると感じた。

どんな技術を使っているのかなど出展者と情報交換など自由に行えるオープンな側面は残っているので、両者のバランスを取りながら今後の発展を期待したい。

宇宙開発とバイオはこれから大きく発展する兆し

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筆者が特に注目したのは、こうした「日本のメイカー文化」の中心ではないものの、世界中で重要な役割を果たす宇宙開発と、これからの(アメリカ発祥のグローバルな)MAKER文化の中心となるであろうバイオ関連の研究だ。これらはどちらも、いままで企業や研究機関しかできなかったことを「我々の手にとり戻す」(注2)可能性を秘めているからだ。

宇宙開発では、Cubesatという1辺10cm程度の超小型立方体人工衛星を打ち上げる研究が盛んに行われている。

このような研究が広がっている背景は、「人工衛星をつくる 設計から打ち上げまで」宮崎康行 に詳しく書かれている。

1998年に提案されたCansat(350ml缶サイズ)から発展したCubesatを、2003年6月30日に世界ではじめて打ち上げ成功したのは、東京大学(XI-IV)と東京工業大学の(CUTE-I)だ。さらに、JAXAは国内の大学等に対して相乗りでのCubesat打ち上げ機会をなんと無料で提供している。海外でもお金を払えば打ち上げてもらえる。パーソナル衛星の環境が整いつつあるのだ。

MFT2016では、Cubesatやロケットを作っている研究機関だけでなく、サラリーマン有志によるCubesat開発団体「リーマンサット」や、ニコニコ技術部の共通課題の1つである「初音ミクのネギ振り」をCubesatを使い宇宙空間で実現しようというチームがいて、今後もウォッチしていきたい。

バイオは、近年のメイカー界隈でもっとも大きな変化が起こっている領域といっても過言ではない。

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2015年には、「How to grow (almost) anything」という講座が世界のファブラボネットワークで開催された。

ファブラボは、「How to make (almost) anything」という、MITの伝説的な授業から発展した施設で、3Dプリンタや切削機械などMAKER文化の実行環境を提供してくれる。

そのファブラボが、次なるムーブメントを創りだそうとしている。

この動きには、近年のバイオテクノロジーにおいても、Arduinoや3Dプリンタ等を用いたアマチュア研究者が増えてきているという背景がある。遠心分離器やDNA増幅器など一通りの機材やソフトウェアがオープンソースで開発されていることに加えて、diybioやiGEMなどのメディアも育ってきていて、まさにこれから面白いアイデアがどんどん出てきそうだ。

日本ではファブラボ鎌倉、YCAM、ファブラボ浜松などが意欲的に研究を進めているよう。その他にも、自分で酒の醸造を行う人(もちろん法の範囲内で)などもいたが、自らの遺伝子解析をするような猛者はまだ現れていないようだった。

筆者は、ぜひ取り組んでみたいと思っているので、まずは2015年の「How to grow (almost) anything」を見ようと思う。


注1

  • 日本のメイカー文化に関しては、「メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない」 が詳しい。著者は界隈では「ネコミミおじさん」として有名なチームラボMAKE部の高須正和氏。Kindle Ultimateでも読める(!)。

注2

  • MAKE: Magazine元編集長のMark Frauenfelderの著作「Made by Hand ポンコツDIYで自分を取り戻す」では、広告によって人々は自分で作り修理する人から消費する人へと変えられてしまった、DIYではそれを自分の理解できる範囲に取り戻し、自分が何かをコントロールできると気づくこととに大きな意義があると書いている。
  • 宇宙開発やバイオテクノロジーは、むしろ最初から一般人の手の届かないところで生まれ発展してきた(最初から消費者がほとんどだった)が、人工衛星は打ち上げ時の重力や振動、宇宙空間での放射線などエクストリームな環境でいかに動作するものをつくるか、というエッセンスを、バイオテクノロジーは、身の回りの世界や自分の内部をより理解するという技術であり、それを自分たちの手の届く範囲に収めることはMAKEの精神にとってとても重要なことだ。


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