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大都市の中の絶景!ドローン×360°カメラで撮影「誰も見たことのないニューヨーク」

アメリカ・ニューヨークでは、ドローン空撮が日本以上に盛り上がっている。

『Catalyst』では先日、この3月に開催されたドロニストによる映画の祭典「NYCドローン映画祭」を取り上げたが、チケットは売り切れ。入場できない人が続出するなど、かなりの盛り上がりを見せていた。

そのNYCドローン映画祭の主催者で、アメリカのドローンシーンの中心的人物が、ランディー・スコット・スラヴィンさん。トヨタ自動車やアメリカンエクスプレス、CBSなど、錚々たる大企業をクライアントに持つ写真家でもある。

ランディーさんはドローンを使った「独自の撮影手法」で、誰も見たことのないニューヨークの姿を切り取り、空撮ファンを楽しませている。

ランディー・スコット・スラヴィン(Randy Scott Slavin):空撮フィルムディレクター、フォトグラファー。2015年から開催されている「NYCドローン映画祭」の主催者。ニューヨーク州ロングアイランド出身、マンハッタン在住。ランディー・スコット・スラヴィン(Randy Scott Slavin):空撮フィルムディレクター、フォトグラファー。2015年から開催されている「NYCドローン映画祭」の主催者。ニューヨーク州ロングアイランド出身、マンハッタン在住。自身のホームページプロフィールの詳細

ニューヨークの新しい景色

ランディーさんの「独自の撮影手法」とは、ドローンに360°カメラを載せて撮影する、風景のパノラマ空撮写真だ。それで出来上がったのが、「Alternate Perspectives」である。

「ドローンで撮った作品は、本当に美しくユニークなんです。通常のものとはカメラワークが違いますから」。ランディーさんはドローン空撮の魅力をこう語る。

普通のカメラでの撮影では、「ここで撮って、次は角度を変えて撮って、そして次は一歩踏み込んで撮って・・・」の繰り返し。ドローンなら撮影のスタート地点から一気にズームダウンして広角を撮ることも可能。ダイナミック、かつフレキシブルだ。

「ヘリコプターでもできない撮影ができるのも魅力」。例えば、取材を行っている室内で撮り始めたとして、窓から屋外に一気に飛ばし、川を越え、一瞬にしてニューヨーク郊外のロングアイランドまでを撮影することもできる。

「こんなこと、今までどんなプラットフォームでもできませんでしたよね」

「Alternate Perspectives」シリーズ「Times Square」 ©Randy Scott Slavin「Alternate Perspectives」シリーズ「Times Square」 ©Randy Scott Slavin

ランディーさんがこの技法を生み出したのは、2012~13年頃。それまでさまざまな撮影テクノロジーを試すうち、撮影にドローンも使うようになり、そこからクリエイションの領域がグッと広がったという。

「最初はとにかく、ドローンを使っていろんな場所で撮影しました。そして、出来上がった作品をまわりの友人に見せたら、みんな感動してくれてね。だって、今まで誰も見たことのないニューヨークの姿がそこにあったのですから」

世界的な規模の大企業を多くクライアントに持つランディーさん。最近の仕事の中では、人気ドラマ『Law & Order』の刑務所のシーンをドローンで撮影したのが印象的だったという。

「興味深い経験でした。ドローンで撮影する場合、とにかくたくさんのショットを撮影します。そうするとたまに自分でも期待していなかったようなショットが撮れたりするから、撮影を終えてモニターでチェックする瞬間など、それはもう最高に楽しくエキサイティングな気持ちになりますよ」

プロドロニストの仕事道具

そんな第一線で活躍するランディーさんに、実際に使っている仕事道具を聞いてみた。

「Alternate Perspectives」シリーズ「Battery Park Night」 ©Randy Scott Slavin「Alternate Perspectives」シリーズ「Battery Park Night」 ©Randy Scott Slavin

カメラは、「Nikon D300」から始まり「Canon EOS70」、「Alternate Perspectives」シリーズを撮った「NikonD100」など渡り歩いてきたが、今は「Sony a7S」をメインに使っている。Sony a7Sは光が少ないところでもきれいに撮れるのが気に入っているという。

「使いこなせてくると愛着も出てくるから、手放せなくなりますね」

そのほかにもドローンに載せるカメラは6台所持している。価格は5000ドルもしないくらいのもの。今後、もう少し買い足す予定だ。

ランディーさんは仕事以外でもドローンをよく使っている。しかしこちらは撮影ではなく「レース用」で自作とのこと。

ドローンフレームデザイナーの友人、アンディー・シェンさんがデザインしてくれた「Shendrones frames」を使っているそうだ。「彼のデザインしたフレームには一つひとつ思いがこもっていて、綿密にテストもされています。実際に触ると、それらのフレームがなぜそのようにデザインされたのかが分かる。フレームデザイナーの意図を知ることは自分にとってとても大切なことです」。

レース用ドローンに使われているフレームは「Shedrones Krieger frame」、ESCは「Kiss 30 amp ESC」、プロペラは「5 Inch Triblade 5045 Dal props」、コントローラは「Naze 32 flight controller」、バッテリーは「Venom 1300 4S batteries」、モーターは「Tiger 2206 motors」。

ランディーさんが使用するレース用ドローン ©Randy Scott Slavinランディーさんが使用するレース用ドローン ©Randy Scott Slavin

ドロニストの腕を磨くコツは?

ランディーさんはドロニストになる前、カメラマンとしてキャリアを積んでいた。

彼にとって動画の撮影は「ファーストラブ」と言っていいほど最初にのめり込んだもので、今ではディレクター職に就いて10年ほどが経つ。主にコマーシャルやフィルム、ミュージックビデオの仕事で、風景や人、バンドなどを撮影してきた。

仕事を始めてしばらくすると写真にも興味が湧いてきて、2008~9年ぐらいから撮り始めた。もともと、M.C.エッシャー(マウリッツ・エッシャー)やアンセル・アダムス、ピーター・リックなど、風景写真家の大ファンで写真には興味があったのだという。

その後、興味の赴くままに撮影用のライティングを学んだり、ステレオグラフィック・プロジェクション(ステレオ投影)など撮影テクノロジーを駆使して撮影するようになり、もっとこの世界にのめり込むように。そうするうち、ドローンにめぐり合った。

「Alternate Perspectives」シリーズ「Mohonk」 ©Randy Scott Slavin「Alternate Perspectives」シリーズ「Mohonk」 ©Randy Scott Slavin

「ドローン空撮を始めた3~4年前は、実はドローンを飛ばすための規定も知らず飛ばしていた」と話すランディーさん。「今みたいに規定がはっきりしていなかったから、私だけではなく誰も知らなかったと思う」。

最後に、ドロニストとしての腕を磨くためのコツは何かあるかと尋ねた。

「ドローンは素晴らしいものを創造できるツールだけど、使いこなすのにやわなものでは決してありません。ドローンがぶつかったり墜落したりしないように、撮影の前にまずは飛行の練習を重ねる必要があります。そのためには小さいドローンから始めること。また、ドローン=空撮カメラなので、撮影技術を知らないことには話になりません。ということは写真の勉強も必要です。そして、撮影の経験を積むこと」

これからも素晴らしい写真や映像作品に向き合っていくランディーさんは、ドローン映画祭などへの取り組みで業界全体をさらに盛り上げていくことだろう。

ランディーさんが主催した「NYCドローン映画祭」のレポートはこちら

ランディーさんの作品を動画でも

AERIAL NYC - YEAH DRONES! from director. randy scott slavin on Vimeo.

YEAH DRONES_AERIAL CINEMATOGRAPHY 2015 from director. randy scott slavin on Vimeo.

Toyota/Spike TV Aerial Cinematography by Yeah Drones from director. randy scott slavin on Vimeo.

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