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DJIの新型ドローン「Phantom4」が人工知能で実現した”革新”とは?

3月3日、六本木ヒルズアリーナで中国のドローンメーカー大手 DJIが主力商品である「Phantom」シリーズの新作「Phantom4」の発表会見を行った。障害物回避やアクティブトラックなどの新機能が搭載され、連続飛行時間も28分と前作の「Phantom3」から5分延びるなど、撮影・飛行機能が圧倒的に向上した。

発表会見にはDJI JAPAN代表取締役の呉稲氏が登壇し、先述した「2つの新機能」を軸にPhantom4がクリエイターの表現力や創造性をかき立てることをアピールした。『Catalyst』編集部も本会見に出席。目玉である「人工知能」搭載によって実現された空撮体験の魅力を、ドロニストの視点でお伝えする。

DJI社は2006年に中国のシリコンバレーとも呼ばれる深センで設立。2012年に世界初のオールインワン型マルチコプターPhantomをリリースし空撮ブームの火付け役となった。「創作活動をよりシンプルに」というコンセプトのもと、撮影に関する技術を革新。2015年には自社のドローンアプリ「DJI GO」で撮影された空撮写真は7000万枚にもおよんだ。内部のソフトウェア開発にも力をいれており、ドローン業界のパイオニアとしてハードとソフトの両面から革新を起こしている。

人工知能搭載で向上した創造性、安全性とは?

Phantom4の大きな特徴は撮影機能が圧倒的に向上した点だ。前作のPhantom3にはなかった「アクティブトラック」「障害物自律的回避機能」が新たに搭載されている。

アクティブトラックは動きのある被写体を自動追尾する機能。iOS/Android対応アプリ「DJI GO」を利用することで被写体をタップのみで追尾することができる。 人工知能の自律学習機能がこれを実現しており、Phantom4は動きのある被写体をカメラの中央におさめるため自律的に動きを判断する。ユーザーは安定した撮影を持続できる。

従来動きのある被写体の撮影はプロでも難しいと言われていたが、呉氏は「Phantom4を使えばユーザーはタップのみでそれが実現できる」と自信を持って新機能を語った。

Phantom4はカメラ自体も改良することで「安定性」も向上した。超軽量で頑丈なマグネシウムコアを使用したハイエンドジンバルにカメラを搭載。これによりカメラの柔軟性は向上しつつ重心を常に維持することができ、カメラの安定性が一層高まった。

障害物を自律的に回避する機能にも注目したい。Phantom4では障害物感知システムが搭載された。進行方向をとらえる2つの光学センサーにより障害物を感知し、人工知能によって自律的に迂回ルートの計算を行う「タップフライト」が障害物自律回避を可能にしている。システムが障害物を避けられないと判断した場合、ユーザーが再度指示を出すまで飛行速度を落とし停止、ホバリングをする。

呉氏はPhantomのコンセプトを語る際に、哲学者イマヌエル・カントの名言、「全ての知識は知覚することからはじまる」を引用し、Phantom4はクリエイティビティを刺激することで人間の知覚を拡張することができる「空の相棒」であることをアピールした。

撮影機能以外にも連続飛行距離が28分と前作より5分延びていることをアピールする呉氏撮影機能以外にも連続飛行距離が28分と前作より5分延びていることをアピールする呉氏

Phantom4、ドロニストからの評価は?

前回のParrotの製品発表会でもコメントを伺った慶應義塾大学ドローンスポーツチーム「KART」の広報担当の二人の姿があったため、Phantom4についても感想を語ってもらった。

KART広報担当の遠藤澄絵さんは「Phantom3でレースドローンの追い撮りをしたことがあるのですが、速くて綺麗に撮影できませんでした。アクティブトラックを使えば、こういった動きのある撮影も簡単にできるので撮影の質が上がると感じます」と語った。

遠藤さんが言及するアクティブトラックはドローン初心者にとって操縦の障壁を低くしている。さらに従来のPhantomはカメラの向きを自分で調整する必要があったが、新作ではカメラを自律的に動かせるため、撮影操作も容易になった。

8枚構成の非球眼レンズによって魚眼の歪みを解消し色収差を最小限に抑えたPhantom4のカメラ8枚構成の非球眼レンズによって魚眼の歪みを解消し色収差を最小限に抑えたPhantom4のカメラ

同じくKART広報担当の舛田桃香さんはPhantom4で映像表現の幅が広がると語る。「たとえばドローンレースに出場しているレース用ドローンからの映像とその機体を追尾した映像を組み合わせることで新しい視点で観戦ができると思います」。

デモ飛行ではアクティブトラック機能が披露された。写真でもわかるように突然のブレーキで機体は動いてもカメラは一定の位置を保っているデモ飛行ではアクティブトラック機能が披露された。写真でもわかるように突然のブレーキで機体は動いてもカメラは一定の位置を保っている

また、舛田さんはデモ飛行からブレーキの効きの良さが改良されていると感じたという。「これまでのPhantomはブレーキ時に若干流れてしまうのが難点だったのですが、新作はブレーキの効きが良く方向転換も瞬時にできる印象を受けました。動物などの動きがよめない被写体の動きに対応できるように性能が上がっていますね」。

DJI JAPAN、呉稲代表取締役(中央)と遠藤澄絵さん(左)と舛田桃香さん(右)DJI JAPAN、呉稲代表取締役(中央)と遠藤澄絵さん(左)と舛田桃香さん(右)

ドローンメーカーが互いの強みを活かし産業を活性化させることを期待

Phantom4の「アクティブトラック機能」によりドローン初心者でも高度な撮影ができるようになったのは特筆すべき点だ。一方、プロカメラマンの手にかかれば、よりクリエイティブな映像作品が生まれることも間違いないだろう。

2015年に国内の規制が強化されたこともあり、ドローン離れが懸念されているが、DJI社やParrot社などのパイオニアの取り組みによりドローン産業が一層盛り上がることに期待したい。

Phantom4の価格は189,000円(税込み)。

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